アメリカ古着を語る上で外せないのがデニムであるように、ユーロ古着を語る上で外せないのが「モールスキンジャケット」である。
モールスキンもリーバイス同様に年代によってディテールや質感が異なる。
モールスキンとは??

モールスキンとは1940年代〜50年代にフランスのワークジャケットに多用された素材である。主にフランスの炭坑夫に愛用されており、それが大衆にも広まったのが起源である。
モールスキンとは、Mole+Skinであり、「もぐらの皮」という意味がある。また肉厚で表面が少し毛羽立ったような風合いが特徴である。
モールスキンは、太い綿糸を生地の片面だけではなく、両面に起毛させながら織り上げている。また高密度で織り上げているため、とても頑丈である。
モールスキンの風合いの特徴として
- 独特な光沢
- 経年変化による味
モールスキンには他の素材にはない、光沢感がある。モールスキンの光沢感は独特で、レザーのような光るような感じでなく、柔らかな印象を与える光沢感だ。
もう一つのモールスキンの特徴として、経年変化後の風合いである。

上のようにモールスキンは「着てなんぼの服」である。
ワーク系の背景を持っているので、着倒してようやく本来のカッコよさが感じられる服。
着倒してようやく味が出てくるという点はデニムと非常によく似ている。またワークとして使用されていたモールスキンジャケットは70’s以降はあまり見られない。
様々なモールスキンジャケット

シンプルなディテールながらも完成されたデザイン。やはりモールスキンジャケットと言われてこの形を思い浮かべる方が多いだろう。
個人的にシンプルだからこそ、経年変化が一番楽しめるのはこの形。
是非、気兼ねなく着倒していただきたい一着。

次に個人的に一番好きなテーラード型のモールスキン。
ワーク系でありながら、クラシックなテーラードの形をしており、非常に使い勝手しやすい。
ここまで着れば着るほど味の出るテーラードジャケットは他になく、カジュアルにテーラードを着たい時にもってこいのアイテムである。

デッドストックの鮮やかなブルーの色味も良いが、フェードしたアイスブルーの色味もかっこいい。まさしくデニム同様に着倒していってようやく味が出てくるといったモノである。
フェードしたモールスキンの色合いは唯一無にであり、他のワーク系を凌駕するオーラを持っている。

最後にダブルジャケット型のモールスキン。
これまで紹介してきた中でも、特に球数が少なく高価な一着。他の二つにはない上品さを感じられるモールスキンジャケット。
球数も非常に少なく、市場になかなか出回ることがない。そのため値段もかなり高額であり、ユーロビンテージ付きにはたまらない一着であろう。